歯周病は歯を失う原因としてトップの位置を占めている病気です。放置すれば確実に歯を失う原因となる歯周病ですが、早めに対処すれば予防や、進行を止めることができる病気です。一生健康な歯で噛めるようにするために、まずは自分の歯茎の状態を把握し、歯周病対策をしていきましょう。
もし一つでも当てはまるものがあれば、歯周病にかかっている可能性があります。歯周病は重度になってもそれほど痛みを出すことがありません。そのため、上記のような小さなサインを見逃さず、早めに歯科医院で治療を受けることが大切です。
歯周病を引き起こす直接の原因は、歯の周囲に溜まったプラークと呼ばれる白いカス。この白いカスは、食べかすだと思われがちですが、食べかすではなく、実は細菌の集合体です。このプラークの1mgの中には歯周病菌や虫歯菌が1億個以上もいると言われています。
歯磨きが不十分であったり、糖分を摂りすぎてしまうとプラークはどんどんたまり、歯周病菌も増殖していきます。そしてこの歯周病菌が増えすぎてしまうと、この歯周病菌を体が排除しようと免疫を働かせ、歯茎や歯を支えている骨などに炎症を起こし、歯を支えている組織を破壊していくのです。
歯周病を直接引き起こすのはプラークですが、歯周病を悪化させる次のようなリスクファクターにも注意が必要です。
歯石はそのザラついた表面にプラークをくっつけやすく、歯周病菌が繁殖する足がかりになります。
タバコを吸うと歯周病の危険性が5.4倍高まります(1日に10本吸った場合)。
歯ぎしりをしていると歯周組織に過剰な負担がかかり、歯周病が進行しやすくなります。
歯並びが悪いと、歯磨きの質の低下、噛み合わせの力のアンバランスにより、歯周組織がダメージを受けやすくなります。
糖尿病にかかると免疫力低下、お口の乾燥により歯周病リスクが大幅にアップします。
健全な歯茎は、ピンク色で引き締まっていて、歯磨きをしても出血することはありません。
糖尿病にかかると免疫力低下、お口の乾燥により歯周病リスクが大幅にアップします。
歯肉炎の状態を放置していると、早いと20代後半くらいから、歯の周囲の骨が破壊されてしまう「歯周炎」に移行します。歯と歯茎の間に病的な溝「歯周ポケット」が形成され始めます。
さらに骨は破壊され続け、歯を支えている骨は半分くらいになくなっていきます。口臭がひどくなり、歯がだいぶ長く見えるようになってきます。
骨はさらに下がり、歯にぐらつきが現れ、物が噛みにくくなってきたり、歯茎が大きく腫れて膿が排出される症状も出てきます。放っておくと歯が抜け落ちます。
歯周病治療の基本は、プラークを歯の周囲に溜めないこと、つまりプラークコントロールです。そのためにはまず、プラークを溜めやすくする糖分の多い食生活の改善、そしてプラークを溜めないような正しい歯磨き(ブラッシング)を日々行うことが最も重要です。
歯磨きは自分ではできているつもりでも実際にはきちんとできていない場合が多いため、定期的に歯科医院でブラッシング指導を受けることが大切です。
スケーリングとは歯の表面に見えている歯石を専用の機械で落とす治療のことです。
歯周病が進行して歯周ポケットができると、その内部に歯石がこびりつきます。この歯石を落とす治療のことをSRPといい、手用の器具で丁寧に掻き出すように取り除いていきます。
汚染された歯肉を切除し、家庭でのケアを行いやすくすることで歯茎を健康に保ちやすくします。
歯周病によって失われた組織を再生する技術が近年次々に開発されてきています。当院では、歯周組織再生療法としてエムドゲイン法、GBR法というような治療を行なっています。
歯周病はほんの一昔前まで「歯を失うだけの」病気だと思われてきました。ですが、だんだんと体の様々な病気を起こしていることがわかってきました。糖尿病、心臓病、脳梗塞、誤嚥性肺炎、メタボリックシンドローム、胃潰瘍、胃がん、アルツハイマー型認知症、関節リウマチ、早産などがその例です。
つまり、歯周病を予防することで、多くの病気を予防できる可能性があるということです。ぜひ、体の健康のためにも歯周病ケアをしっかりと行なっていきましょう。
歯周病を予防するためには、歯周病菌を増やさないよう、家庭でのプラークコントロールをしっかりと行ない、それに加え、定期的に歯科医院で歯石除去や歯の徹底的なクリーニング(PMTC)を行うことが必要になってきます。
また、最近では、バクテリアセラピーで善玉菌を積極的に体に取り入れることで、歯周病菌などの悪玉菌を減らすことができるようになりました。当院でもバクテリアセラピーを行なっておりますので、詳しくはお気軽にご相談ください。
池田会のイースト21デンタルオフィス 歯科衛生士 小林が「歯の磨き方をプロが伝授」で出演いたしました。