口腔外科(こうくうげか)というのは、お口の中全般的な外科治療を行う診療科のことです。その中には親知らずの抜歯や、ガンを含む腫瘍などのできもの、外傷、顎関節症などへの対応が含まれます。当院では主に親知らずの抜歯を中心に行なっています。
親知らずは前から8番目の歯で、第三大臼歯とも呼ばれています。だいたい10代後半から生えてくることが多く、30代になっても生えてくることがあります。
親知らずというと、「抜かなければならないもの」と思いこんでいる人もいるかもしれません。でも、親知らずというのは人によっても状態が千差万別で、抜いた方が良いケース、抜かなくても大丈夫なケースに分かれます。
抜いた方が良いか、そうでないか、というのはその後にトラブルを起こす可能性が高いかどうか、ということが判断の分かれ目になります。
ところで親知らずはどうして他の歯に比べてトラブルを起こしやすいのでしょうか。それは次のような理由によります。
親知らずというのは、顎の一番奥に位置している歯で、きちんと生えるスペースが足りないケースも多く見られます。全く生える余地のない場合には顎の骨に埋まったまま一生出てこない、ということも珍しくありません。また、そもそも親知らずがもともとない人もいます。
親知らずが埋まっているパターンでよく見られるのは、斜めに倒れていたり、完全に横向きに倒れているケースです。このような場合には、中途半端に歯茎から頭を出したままで止まってしまい、そこの部分に溜まったプラークで虫歯や歯周病を起こしたり、手前の歯を押して歯並びを乱してしまったり、などのトラブルを起こすことがほぼ確実だと言えるでしょう。
親知らずはノドの近くに位置しています。そのため、よほど気をつけて磨いていないかぎり、汚れを取り残してしまいます。汚れが残ったままになれば、大きな虫歯を作ってしまったり、歯周病を引き起こし、痛みや腫れの原因となります。
親知らずはたとえ生えたとしても、向かい合わせの親知らずが生えてくるとは限りません。このようなケースでは、向かい合わせの手前にある歯と噛み合わせ時に異常なぶつかりかたをし、顎関節のトラブルを起こすことも珍しくありません。
また、片方だけ親知らずが生えている場合、向かいの歯の歯茎や粘膜を傷つけ、口内炎を起こすこともあります。
小さな虫歯なら簡単な治療で治せる場合もありますが、大きな虫歯の場合には治療自体が困難ですし、たとえ治療しても虫歯が再発する恐れがあるため、抜くことをおすすめします。
すでに強い痛みを起こしている場合、一旦落ち着いたとしても再度痛みを繰り返す可能性が大きいため、抜歯をおすすめします。
親知らず周囲の歯茎は、生えてくる際に起こることもありますが、炎症がひどく、なかなか落ち着かない場合には抜歯をおすすめします。
親知らず生えてくる際、手前の歯を押し、歯並びを乱す原因になっている場合、さらなる悪化を起こす可能性があるため、放置はおすすめしません。
親知らずの生え方で顎関節の痛みや雑音、開口障害(お口が開けにくくなること)を起こしている場合、抜歯をしなければ顎関節症が悪化する恐れがあります。
歯茎に膿を溜めて強い痛みを出している場合、いち早く歯茎を切開し、膿を出す必要があります。
歯をぶつけてしまった、お口の中が傷ついてしまった、と言うような場合の処置を行います。重症の症例に関しては大学病院等の口腔外科での処置が必要になることもあります。
状態の悪い歯を抜き、その部分に使っていない親知らずを移植し、機能させることができます。また、根の状態が悪い歯で、抜歯をする前の救済方法として、一度歯を抜いて、悪い部分を取り除き、また元の位置に埋めなおし、機能させることができる場合があります。これを再植と呼んでいます。
歯根の先端に大きな膿だまりがあり、根の治療をしても治る見込みがない場合、抜歯と判断する前に、歯茎を切開して膿だまりを取り除く歯根端切除術を行うことがあります。これにより、抜歯をせず大事な歯を生かすことができます。
池田会のイースト21デンタルオフィス 歯科衛生士 小林が「歯の磨き方をプロが伝授」で出演いたしました。